本日は東京都知事の3/25付「感染爆発重大局面」発言を受けて、急遽SIRSコロナウイルスに有効な「消毒薬特集」です(猫のコロナウイルスは後日にします。)
ハートワン動物病院の消毒薬の取り組みも合わせて掲載します。
今回は
東邦大学医学部看護学科感染制御学教授 辻明良著
「感染制御のための消毒の基礎知識」
2009年3月1日 ㈱ヴァン メディカル発行
からの文献引用です。
(私が10数年前、東邦大学に在籍していた時にお世話になったことのある先生の著作です。)
ここ何週間か、テレビ等で手洗いや消毒法についてうんざりする程見聞きしていると思います。
では、病院関係の専門家も同じ消毒をしているか疑問が湧いてくると思います。
今回は専門家による医療従事者への情報を掲載します。
文献には「ウイルスに有効な消毒薬」及び「SARSコロナウイルス有効な消毒薬」について以下のQ&Aの記載があります。
Q13 : ウイルスに対する有効な消毒薬にはどのようなものがあるか?
A:
- ウイルスには、脂質を含むエンベロープを有するものとエンベロープを持たないものがある。一般にエンベロープを有するウイルスは消毒薬による不活化を受けやすい。
- ウイルスに効果を示す主な消毒薬を以下に示した。
①煮沸消毒(98℃以上)20分
②次亜塩素酸ナトリウム(0.05~0.5%)
③消毒用エタノール(76.9~81.4%)
④ポピドンヨード(7.5%)
⑤過酢酸(0.3%)
⑥グルタラール(2%)、フタラール(0.55%) - 従来、肝炎ウイルスは熱に抵抗性を示すと考えられていたが、熱処理条件として100℃5分間で不活化するとの報告がある。
Q14:重症急性呼吸器症候群の原因ウイルスであるSARSコロナウイルスに有効な消毒薬には、どのようなものがあるか?
A:
- SARSコロナウイルスはエンベロープを有するRNAウイルスである。
- ウイルスに有効な消毒薬には感受性がある。
- 次亜塩素酸ナトリウム、消毒用アルコール、ポピドンヨード、グルタラール、過酢酸などが有効である。(下記「主な消毒」参照)
「SARSコロナウイルスに対する主な消毒薬」
・次亜塩素酸ナトリウム:器具(0.1%、30分以上の浸漬)、排泄物(0.1~1%の処理)
・消毒用エタノール:器具(清拭)、手指(清拭)、速乾性手指消毒薬
・ポピドンヨード:皮膚(10%、清拭)、手指(7.5%、スクラブ)
・グルタラール:器具(2%、1時間浸漬:要保護具の使用)
・過酢酸:器具(0.3%、10分間浸漬)
解説
今回は昔から医療従事者に実施されてきたウイルスの消毒薬についてです。
専門家向けの本からの引用なので聞いたことのない消毒薬もあったと思います。
Q13では煮沸20分も出ていました。これは「芽胞」を持つ特殊な細菌以外では有効な消毒法です。
Q14の「SARSコロナウイルスに有効な消毒薬」は、今回の新型コロナウイルスと同様と考えられます。
結局、我々が使用できる消毒薬は実際は「次亜塩素酸ナトリウム」と「消毒用エタノール」になります。
これは前回紹介したものと同様です。
次亜塩素酸ナトリウムの排泄物(0.1~1%の処理)の情報は、もしトイレの消毒をするときには有用と考えられます。
さて、ハートワン動物病院ではウイルスに対しどう対応しているか、簡単に説明します。
診察室や待合室の消毒は「ビルコン」で消毒しています。
「ビルコン」とはバイエル薬品の「アンテック ビルコンRS」のことで、有効成分は「ペルオキソ一硫酸水素カリウム及び塩化ナトリウム」です。
幅広い殺菌スペクトルを持つ複合次亜塩素酸系消毒剤です。
この消毒薬を用いて、診察台は診察ごとに、診察室や待合室の床等も定期的に消毒を実施しています。
消毒については後日、もっと詳しく具体的にご報告いたします。