目的
呼吸器疾患や猫の結膜炎の診断と適切な治療薬の選択のため。
対象
呼吸器外来。咳、くしゃみ、鼻水などの症状がある仔犬。くしゃみ、鼻水、結膜炎などの症状がある猫。
検体の採取方法
結膜スワブ
予め眼の汚れを取ってから、まぶたの内側をこすって採取する。
深咽頭スワブ
咽頭部をしっかりこすり、材料が目視で確認できるくらいの量を採取する。
上記のいずれも滅菌綿棒を用いて採取し、綿球に触れない様に綿棒の軸をハサミで切り取り、綿球側を滅菌容器に入れる。
結膜スワブと深咽頭スワブを一緒に容器に入れ、乾燥・密封状態のものを冷蔵で提出する。
犬呼吸器疾患パネル検出項目と病態
H3N8犬インフルエンザウイルス
最初にインフルエンザの感染が認められた型で、馬から変異して犬へ感染したと考えられている。
日本での感染報告はない。症状は食欲不振、発熱、鼻汁、咳など。まれに重症化する。
H3N2犬インフルエンザウイルス
2007年に韓国で鳥から犬へ感染。
潜伏期間は約1日〜3日。典型的なインフルエンザの症状(高熱、咳、食欲不振、間質性肺炎など)。
犬ジステンパーウイルス
伝染性疾患で、空気または飛沫によって感染する。
母親からの移行抗体がなくなる時期の子犬で感染の危険性が一番高まる。
侵入したウイルスは体内のリンパ節で増え、呼吸器、消化器、中枢神経など、全身に広がる。
症状は様々で発熱、くしゃみ、鼻汁、下痢、発作などがある。
犬アデノウイルス2型
犬伝染性喉頭気管炎を引き起こす。ケンネルコフの原因の一つ。
口や鼻からの侵入し、他の細菌やウイルスなどの感染が起こると重症化。単独の感染では重篤化しない。
犬アデノウイルス1型は犬伝染性肝炎を引き起こす。
犬パラインフルエンザウイルス3型
乾いた咳を主症状とする感染力の強い呼吸器の病気。
他の病原体との混合感染により症状が重くなり、肺炎を引き起こすこともある。
犬ヘルペスウイルス
生後2~3週間の子犬が感染し放置した場合、ほぼ100%が死亡。
症状は下痢、嘔吐、よだれ、呼吸困難など。進行すると運動失調などの神経障害もみられる。成犬は感染しても問題ない。妊娠犬では、胎子に感染すると言われている。
犬呼吸器コロナウイルス
呼吸器感染症(犬伝染性気管気管支炎または“ケンネルコフ”)の原因となるもの。一般に、風邪に似た症状を引き起こす。
犬ニューモウイルス
実験的に感染させたマウスでは、軽度の血管周囲の炎症が肺で認められた。犬での病原性は不明。
マイコプラズマ・シノス
細菌の一種。一般的な呼吸器感染症の症状、重篤な場合は肺炎など。
他の細菌やウイルスなどの感染が起こると重症化するが、単独での病原性は不明。
ストレプトコッカス・エクイ
細菌感染であるが、発症しないケースもあり、他の病原体と重感染した場合に増悪因子となる可能性がある。報告された多くの症例は急性の出血性の線維素性気管支肺炎。
ボルデテラ・ブロンキセプティカ【犬猫共通】
感染性気管支炎の原因となる細菌。気管支敗血症菌。
ウサギのスナッフル(閉塞性鼻呼吸)や豚萎縮性鼻炎なども引き起こす。
H1N1インフルエンザウイルス【犬猫共通】
元々は豚のインフルエンザで、2009年に「新型インフルエンザ」として人で流行。国内の犬の調査では、発症の記録はなし。
症状は主に一般的な呼吸器感染症の症状、重篤な場合は肺炎など。咳、鼻汁、眼漏、発熱、食欲不振、沈鬱、呼吸困難などの症状がある。
猫上部呼吸器疾患・猫結膜炎パネル検出項目と病態
猫ヘルペスウイルス1
伝染性鼻気管炎を引き起こすが、上部気道感染症という多因性の疾患の一部としてみられることが多い。
主な症状はくしゃみ、食欲不振、発熱、眼及び鼻からの分泌物、充血と浮腫を伴う結膜炎などがある。
猫カリシウイルス
上部気道感染症という多因性の疾患の一部。
症状としてはくしゃみ、鼻汁、流涙など。時として、流涎を伴う口腔内潰瘍形成が特徴的な症状を認める。
クラミドフィラ・フェリス
上部気道感染症という多因性の疾患の一部。
主症状として結膜炎(結膜浮腫、膿性の眼脂)を引き起こす細菌。
マイコプラズマ・フェリス
上部気道感染症という多因性の疾患の一部細菌の一種。
一般的な呼吸器感染症の症状、重篤な場合は肺炎など。
他の細菌やウイルスなどの感染が起こると重症化するが、単独での病原性は不明。
ボルデテラ・ブロンキセプティカ【犬猫共通】
感染性気管支炎の原因となる細菌。気管支敗血症菌。
ウサギのスナッフル(閉塞性鼻呼吸)や豚萎縮性鼻炎なども引き起こす。
H1N1インフルエンザウイルス【犬猫共通】
元々は豚のインフルエンザで、2009年に「新型インフルエンザ」として人で流行。国内の犬の調査では、発症の記録はなし。
症状は主に一般的な呼吸器感染症の症状、重篤な場合は肺炎など。咳、鼻汁、眼漏、発熱、食欲不振、沈鬱、呼吸困難などの症状がある。