子宮蓄膿症について
子宮が細菌感染により炎症を起こし、子宮の中に膿がたまる病気です。
放置しておくと死亡することもあります。
妊娠・出産経験のない犬がなりやすいのもこの病気の特徴です。また、5~7歳以上になると発生しやすくなります。
原因
犬の発情(ヒート)は性ホルモンの影響を受け、半年に一度くらいの周期で見られます。
この病気は発情周期にしたがって分泌される黄体ホルモンの生理作用と密接に関連し、発情後1~2ヶ月後の発症が多く見られます。
黄体ホルモンは子宮内膜の増殖を促しますが、その時期の子宮は感染に対する抵抗力が低下し、感染を起こしやすい状態になっています。
ですから、その時期に細菌に感染すると、子宮内が細菌の繁殖しやすい状態にありますので、子宮蓄膿症が発症します。
妊娠・出産することなく、発情が繰り返されることによって、加齢とともに発症のリスクは増加していきます。
症状
発情期終了後1~2ヶ月以内に発症することがほとんどです。
元気消沈、食欲低下、嘔吐や発熱などが見られ、多飲多尿の傾向が見られるのが一般的です。
外観上の変化として、外陰部から血の混ざった膿が排出されているのに気づくこともありますが、子宮に溜まった膿が排出されずに子宮内に溜まったままになることもあり、お腹が膨れて見えることもあります。
この場合、子宮内に溜まった細菌による毒素も体内から排出されないため、より重い症状を呈します。
状態によっては膿の溜まった子宮が破裂し腹膜炎を起こしてしまうこともあり、緊急手術が必要になることもあります。
治療・予防
外科的に子宮と卵巣の摘出手術を行います。
妊娠出産を希望する場合は、抗生物質やホルモン剤などによる内科治療おこなう事もありますが、お勧めはしません。
治療に反応しないケースも多く、一時的に良くなっても再発することが多いです。
命にかかわる病気であるため、通常は外科手術による治療が原則となります。
交配を行わないのであれば、避妊手術がこの病気の何よりの予防になります。