Case94 免疫介在性多発性関節炎

Case94 免疫介在性多発性関節炎

トイプードルの8歳の女の子が、元気食欲の低下を主訴に来院。
身体検査上は発熱と、腰痛。院内でできる血液検査やレントゲン、エコー検査では、発熱の原因(感染症や腫瘍、免疫の病気などがあります)は分かりませんでした。そこで、追加で関節液の検査を行いました。一般的な検査だけで原因がわからない発熱の時には、関節液の検査で診断がつくことがあります。

結果は『免疫介在性多発性関節炎』。動物の関節炎は原因や病態からいくつか種類があります。この病気はそのうちの1つで、免疫系の異常によって免疫細胞が自分自身の関節を壊してしまいます。原因は不明なことが多いですが、感染症や腫瘍など他の病気から二次的に発生してしまうこともあります。

一般的には、

  • 関節(特に手首や足首、膝)が腫れている、痛がる
  • 足を上げるのを嫌がる
  • その日によって痛い足が変わる
  • 歩き方がおかしい

などの症状が見られることが多いです。
しかし、この症例のように元気食欲の低下や発熱のみの症状しかなく、関節の症状がないこともあります。

この病気では、ステロイドや免疫抑制剤などで免疫を抑える治療を行います。この症例にはステロイドを使用しました。体調はどんどん良くなり、薬を減らしながら経過を見ています。この病気の治療への反応は、その子その子によって異なります。反応が良い場合にも再発することがあり、治った後も、飼い主さんには日常生活で歩き方に変化がないかなど、しっかり見守ってもらうことになります。

普段からご家族みんなでワンちゃん、ネコちゃんの全身を触ってもらい、少しでも変わったところがあったら遠慮なくご相談ください。