新型コロナで話題になっている「塩素系」の消毒薬について

新型コロナで話題になっている「塩素系」の消毒薬について

我々でも普通に買える新型コロナウィルスの消毒薬として、国立感染症研究所のホームページでは「70%アルコール」と「0.05%の次亜塩素酸ナトリウム」が挙げられています。
また、市販の大手キッチン用の塩素系漂白剤では40倍に希釈すると「0.05%の次亜塩素酸ナトリウム」相当になるとホームページで掲載されています。

有名な塩素系の消毒薬と具体的な使用例について以下に示します。
塩素にかかわる消毒薬は4つあります。

次亜塩素酸当院で使用している「キエルキン」やパナソニックの「ジアイーノ」などです。
次亜塩素酸ナトリウムキッチン用漂白剤などです。
手につくとアルカリ性のためタンパクが溶けて、手がぬるぬるします。
次亜塩素酸カルシウム
(さらし粉)
かつては一般的に多く使われていた消毒薬です。
塩素ガスかつては水道水の消毒に一般的に使われていました。

各塩素系消毒薬の違いと人体動物への安全性について示します。

  • 「次亜塩素酸HClO」は弱酸性の水溶液(液体)なので皮膚にも安全なものです。
    「次亜塩素酸」類似の「次亜塩素酸ナトリウム」もあります。
    「次亜塩素酸ナトリウム」はアルカリ性のため皮膚のタンパク質を溶かし、肌にはよくありません。
    その点で「次亜塩素酸」は弱酸性なので肌が荒れることなく安心して使えます。
    また、「次亜塩素酸」は有効な塩素濃度が高いので、「次亜塩素酸ナトリウムと」比較して低濃度で高い効果が得られ、使用時の塩素臭が少ないのです。
    当院では新型コロナウィルスを含めた院内感染対策として服、手指、待合室で使用中です。
  • 「次亜塩素酸ナトリウム」は洗濯の漂白剤や、キッチン用の漂白剤として販売されています。
    弱酸性の次亜塩素酸HClOと苛性ソーダNaOHが結びついたものです。
    苛性ソーダが強いアルカリなのでトータルでちょっと強いアルカリなので肌にはよくありません。
  • 次亜塩素酸カルシウムCa(ClO)2は「さらし粉」で知られています。水に溶かせばアルカリ性です。
    水道やプールの消毒に使われています。
  • 塩素ガスCl2は常温常圧では黄色い気体です。
    法律で「劇物」に指定されて、使用が厳しく制限されています。
    非常に危険な気体です。
    そこで圧をかけて液体としてボンベに保存して、ボンベから機械を用いて使用します。
    かつては水道の消毒に使われていました。

参考

一般財団法人東京顕微鏡院のホームページに以下の掲載があります。

塩素剤にはアルカリ性、中性、酸性の3種類あります。
塩素剤のpH(酸・アルカリの指標)がアルカリ性に成れば成るほど、次亜塩素酸イオン(次亜塩素酸ナトリウムのイオン)の割合が高くなります。
酸性側の次亜塩素酸とアルカリ性側の次亜塩素酸イオンとでは、殺菌力に大きな相違があり、次亜塩素酸イオンは次亜塩素酸の約1/100程度の殺菌力しかないといわれています。
従って、迅速な殺菌が必要な場合にはpHが低い方(酸性)が好ましいでしょう。(「次亜塩素酸」が強い殺菌力を持つということです。)