おうちで飼われているワンちゃん猫ちゃん、その他のペットさん達は、私たち人間に精神的な癒しと身体的な健康を与えてくれ、生活の質を高めてくれています。
大事な家族と言ってよいでしょう。そんなおうちの大事な子の健康を守るのは、動物病院です。
動物病院では獣医師と看護師が協力して疾病の治療を行い、健康を管理していますが、その際には常に感染症の治療や予防にも関わっています。
適切に健康を管理するには、衛生的な環境維持が不可欠になります。そのためには、昨今の新型コロナウイルス感染症対策でも重要視されている衛生習慣の向上等が挙げられるでしょう。
日常的な健康チェックや清潔な生活環境の整備、手洗い等の衛生習慣の確立を行うことで、感染の可能性を減らすことができます。
また、獣医師その他の獣医療関係者は動物由来感染症の専門知識の習得に努めるとともに、診療の際には感染症を念頭に置いた措置と飼育者への指導により動物由来感染症の予防に寄与することが求められています(感染症法第5条の2第1項)。
このような背景から当院では感染症と衛生について着目し、飼い主様と動物達とのよりよい生活を守ることを目的として、このページを作成しました。
動物の感染症と人畜共通感染症を各論で記述していますが、感染予防は専門的知識が無くても、基本的な衛生習慣の励行等で可能なので、日常生活での衛生管理について検索していただく形でも良いと思います。
目的に応じてお読み下さい。
衛生とは(健康を守ること)
衛生とは、簡単に言えば「健康を守り、病気の予防をはかり、清潔を保つこと」です。
細かく言うと、一般衛生と公衆衛生に分かれます。
一般衛生は一般的な衛生の取り組みのことです。
皆さんも良く実践されている手洗い、うがいなど消毒に関したものやトイレ、お風呂、シャワー、掃除など個人が日常的に行っている取り組みです。
これにより健康・病気予防・清潔さが保たれます。
公衆衛生は上下水道やゴミ収集・医療体制など個人では対応できない、我々の健康を守り病気の予防などに関するものです。
ハートワン動物病院の衛生対策として、来院された患者様の健康維持、病気予防、清潔保持のため、毎日の清掃はもとより、ワンちゃんネコちゃんの居心地も配慮して待合室を区別し、診察室でも患者様が気持ちよく診察を受けられる環境作りを実践しております。
感染とは(病原体が体に入り増えること)
感染は「病気」に関わっており、病気の中でも寄生体生物が関与したものです。
寄生体といっても実は簡単には説明できません。
寄生の分類としては、目に見える大きさの寄生と目に見えない細菌などの寄生があり、マダニなどの「外部寄生」、回虫の寄生や皮膚常在菌による膿皮症などの「内部寄生」、結核菌感染などの「細胞内寄生」と色々分類できます。
しかし一般的に感染症といえば、細菌などの微生物の感染の結果生じた病気と考えられます。
感染症の詳細に関しては色々な書籍が出版されているので、皆様もよくご存知のことと思います。
ハートワン動物病院では、犬・猫など良く来院する患者様の感染症を対象に考えています。
つまり細菌、ウィルスを対象とした内部寄生とノミ、マダニ、ニキビダニなどの外部寄生によって発症するものを主な感染症として考えています。
その詳細は別項に掲載しております。
代表的な病気・病害
人で近年話題にされている病原体や疾病について、次のものがあります。
呼吸器感染症として新型コロナウイルス感染症やSARS(重症急性呼吸器症候群)、インフルエンザウイルス感染症などがあります。
細菌感染症としては、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染症やO-157(腸管出血性大腸菌)感染症などがあります。
ドブネズミが媒介する細菌感染症として、急性の熱性疾患であるレプトスピラ症もあります。
レプトスピラは犬の混合ワクチンに含まれている病原体でもあり、人獣共通感染症です。
その他、感染症ではありませんが、花粉症なども話題にあがっています。
感染症
脊椎動物と人の間で自然に感染する病気のことを「人獣共通感染症(ズーノーシス)」と言い、「動物⇒人」だけではなく、「人⇒動物」に感染するものもあります。
主な動物由来感染症には、パスツレラ症、Q熱、オウム病、トキソプラズマ症、ネコひっかき病、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)、狂犬病などがあります。
頻度は少ないですが、人本来の感染症が動物に伝播するものとしては、サルモネラ症や結核などがあります。